糖尿病の黒幕とは
〜「インスリン抵抗性」を改善する方法〜
こんにちは、糖尿病専門医の矢野宏行です。
今回は、糖尿病がなかなか改善しない真の理由、「インスリン抵抗性」について解説します。
「薬を飲んでいるのに血糖値が下がらない」
「生活を見直しているのに糖尿病が良くならない」
そんな方にこそ知ってほしい内容です。
インスリンは出ているのに効かない!?それが「インスリン抵抗性」
多くの方は「糖尿病=インスリンが足りない」と思いがちですが、実際にはインスリンがしっかり出ていても、その効果が発揮されない状態が存在します。
これが「インスリン抵抗性」と呼ばれるもので、糖尿病が悪化する原因です。
膵臓は血糖値を下げようとインスリンをどんどん出しますが、体がそのインスリンを受け付けなくなっているため、ますます無理を強いられ、結果的に膵臓が疲弊していきます。
放っておくと…インスリン抵抗性が引き起こす悪循環
インスリン抵抗性が進行すると、以下のような深刻な問題が生じます:
- 食後の血糖値がなかなか下がらない
- 薬による効果を実感しにくくなる
- 脂肪肝や高血圧などの生活習慣病リスク
- 最終的にはインスリン注射が必要に…
しかもこれは、痩せている方でも起こり得るのです。見た目では分からない「内臓脂肪」が関係しているため、スリムな方でも安心はできません。
どうすれば改善できる?4つのアプローチ
では、どうすればインスリン抵抗性を改善できるのでしょうか?
ここでは、医師の立場から4つの方法を紹介します。
① 薬:信頼できる治療薬もあります
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メトホルミン
インスリンの効きを良くする代表的な薬。肝臓での糖の生成を抑え、筋肉の糖の取り込みを助けます。 -
SGLT2阻害薬
尿から糖を排出して血糖値を下げます。内臓脂肪の減少にも効果があり、インスリン分泌を節約する効果も。 -
GLP-1受容体作動薬
血糖コントロールだけでなく、体重減少や食欲抑制も期待できる注射薬。美容目的でも使われていますが、筋肉量の低下には要注意。
② サプリ:手軽に取り入れやすい方法
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桑の葉(DNJ)
食後の糖の吸収を抑えるため、膵臓への負担を軽減。食事と一緒に飲むことで血糖スパイク対策になります。
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スルフォラファン
ブロッコリースプラウトなどに含まれる成分で、脂肪肝の改善に効果的。慢性的な肝臓の炎症を抑え、インスリン感受性の向上にも。
③ 食事:タイミングと順番がカギ!
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カーボラスト(糖質を最後に食べる)
野菜やおかずを先に食べ、白米などの炭水化物を最後に食べることで、食後血糖値の急上昇を防ぎます。 -
夕食を早めに、10時間以上の空腹時間を作る
夕食を夜8時より前にすませ、翌朝まで10時間以上何も食べないようにすることで、インスリン抵抗性が改善されやすくなります。 -
発酵食品や食物繊維
腸内環境を整えることもポイント。腸内の炎症を抑えることで、インスリンの効きも良くなります。
④ 運動:シンプルでも効果あり
- 食後15分の軽い有酸素運動でもOK
- スロースクワットや背筋トレーニングなど、大きな筋肉を動かすのがおすすめ
「きつい筋トレは無理…」という方でも、継続することが最も大切です!
まとめ:インスリン抵抗性は改善できる!
糖尿病の真の黒幕「インスリン抵抗性」は、
薬・食事・運動・サプリをうまく組み合わせることで、十分に改善が可能です。
「痩せているから大丈夫」と思っている方こそ、早めの対策をおすすめします。
私のクリニックでも、カーボラストや桑の葉茶を取り入れただけで
「薬が減った」「血糖値が安定した」という方がたくさんいます。